あのね、今まで「朝市なんかに出て」って言っていた人が始めて朝市に買物に来てくれてね。「朝市って楽しいね」って言ってくれたの。
ご婦人、とてもうれしそうに話してくれました。
勝沼って、誇りあるぶどうの産地。
だから果物はしっかりと販路があるし、直売観光園もあるし、なにも朝市に持ってこなくたっていいわけだし。
いわゆる“はねだし”と呼ばれる規格外の産物はご近所に配ったり、加工品にまわしたりして。しっかりとルートが決まっているし、さらに質の悪いものは畑に埋めちゃったり。
んで、この地域では“朝市で売る”ってことは、「そぼいこと」=みっともない。ってことなんです。これがまた果物や野菜のみならず、手づくり品にしても売ってお金をもらうことに抵抗があるみたいなんです。
ましてや、素人の私たちがつくった朝市だから、面白いわけがない。
私たちが、志(こころざし)高すぎに「かつぬま朝市やるぞ〜!」の狼煙(のろし)をあげた時、いち早く協力して出店してくれたのが、冒頭でうれしがっていたご婦人でした。
わかった仲間だもん、協力するわ、何か作って朝市を盛り上げましょう!まだお店が2軒しか出ていない頃の話です。
したら、いきなり
「ねえねえあの人さ、朝市であんなもの売ってたよ」って。そんな噂が電光石火の如く部落を駆け巡ったらしいのです。
その後そのご婦人のグループ、何度も心が折れそうになったけど、ずっとずっとかつぬま朝市に出店し続けてくれました。
そこで、第68回を迎えたかつぬま朝市でこのうれしい言葉をかけてもらったらしいんです。
「かつぬま朝市って楽しいね」
そりゃそーさ!
田舎って意外と物事難しいんだよね。
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